草鞋(わらじ)で沢登り、山登りをする
地下足袋と「わらじ」は切っても切れない関係です。というか地下足袋はわらじを履くことで最大のパフォーマンスを発揮します。
一昔前の、フェルトの沢靴なんか無かった時代は沢屋さんはみんなわらじだったそうな。戦後の著名な登山家の記録を見ても、ワラジで谷川岳に登る描写がよく出てくる。
草鞋(わらじ)のメリット
①滑らない。
作りたてのわらじは結構滑る。これは底がツルツルの状態だからですが、半日ほど履いてると底の繊維が切れてガサガサの状態になるので、こうなると滑らない。濡れてる岩場はもちろん、普通の登山靴ならツルッといく濡れた木とか、苔の上、ヌメッた川底でも滑りにくい。
素材のポリプロピレンは沢靴のフェルトにも使われているので素材としては沢靴と同じ。なので滑らないのも当然ですね。
②耐久性
素材は荷造り用のPP(ポリプロピレン)ロープなので藁よりもずっと耐久性がある。藁のわらじは1回の山行でボロボロになり木に引っかけて帰ったそうですが、これは10回ぐらい沢で使ってるけどまだ使えます。それにあまり水を吸わないので重くならないし、洗って何度でも使えます。
③コストパフォーマンスが高い。
これです。だいたい1足分で原価200~300円ぐらいで作れます。地下足袋と合わせても3000円ぐらい。これは安い!
④履き替えが楽
普段から地下足袋だと、登山口まではクロックスで、そこから沢までは地下足袋で、沢に入る時にわらじを付けて、沢から上がって下山するときにまたわらじを外して、というように付け外しが楽。沢靴だと脱いだり履いたりが面倒ですからね。
⑤足にぴったりのサイズに出来る
自分は沢タビは履いたことがないんですが、サイズの種類がSS〜LLで1cm刻みなので足にぴったりあわせるのが難しいみたいです。これ、靴では重要なことですね。大きめサイズを履いて靴下で調整も出来ますが、滝を登る場合は足先に遊びがあると曲がって登りにくいんじゃないかと思う。その点、地下足袋なら靴と同じ0.5づつサイズなので、ちょっときつめサイズにワラジを履いたらクライミングシューズのように滝を登れます(言い過ぎか?)。
また、地下足袋で雪渓を登りたいけどアイゼンが履けないので、わらじのアレンジでこんなものも作ってみました。
傾斜の緩い雪渓だったら歩けますが、ピンが短いのでちょっとでも傾斜があると滑りそうで怖い。それに岩場を歩くとピンが寝てしまう。
剱岳の八ッ峰を登るつもりで長次郎谷の出会いまでこれで行ったけど、そこから先の急傾斜は無理でした・・・
色々な素材で草鞋(わらじ)を作ってみる
わらじの素材として藁縄、PPロープはよく見ますが、じゃあ他の素材ではどうなの?もっと滑りにくい素材はあるのかと思って、色々試してみました。
PPロープ
PP(ポリプロピレン)の荷造りロープ。ホームセンターで簡単に安く手に入る。太さは5mm、6mm、8mm等ありますが、細いほうが薄く作れて小さいスタンスに立ちこめるのでいいと思う。色は一般的な白のほかに、黒、黄色、緑、わら色など色々あります。
一般的な沢靴の底に使われているフェルトもポリプロピレンなので、堅く作ったわらじはフェルトシューズと同じぐらい滑らない、と思います。
綿ロープ
耐久性はあるんですけどね・・・滑るし、水を吸って重くなるで使えない。でも、綿の軍手が滑らないのでもしかしたら・・・もう少しやわらかいロープで作るか、底をヤスリで削って荒くしたらもしかしたら大化けするかも。
藁縄(わらなわ)
わらじといえば藁、多分一番滑りにくいんでしょうが山道具屋で買うと高いし(1000円ぐらいする)、自作するにはちょっとやりにくい。
藁縄自体はホームセンターの園芸コーナーで手に入るんですが、加工するとわらくずが飛び散る、藁が堅くて足の形に合わせにくい。細い藁が売っていないなど。
昔の人は藁の扱いに長けていたんでしょうけど、現代人にはちょっと難しいです。
麻ロープ
これは滑って全然ダメでした(^_^;)手触りはいいんですけどね~家でスリッパ代わりに履くにはいいかも?
シュロ縄
ヤシの繊維。手触りがタワシなのでいけると思ったんですが、どうもいまいちですね。堅過ぎるのかなぁ?
草鞋(わらじ)の作り方
草鞋(わらじ)の修理
とくに修理というほどのこともないですが・・・何度も履いてると下の様に隙間が空いて縦糸が見えてくることがあります。横糸は多少切れても問題ないですが、この縦糸が切れると一発で分解してしまうので、こういう状態になったら横糸をつめていって隙間が踵に来るようにして、最終的に踵の隙間を別のロープで結んでしまうといいです。
隙間を踵側に寄せれば大丈夫。